ご案内状 | このたび中国浙江省杭州市の中国美術学院(日本の芸大にあたり、学生数1万人の大規模な美術学校です)この中国美術学院美術館の主催で個展を開催させていただきました。 大変好評で7月12日に開場し多数の参観があり、会期を1ヶ月主催者側のご好意にて延長され、開場も1会場増加されるという優遇を受けました。3室壁面435メートルに展示され作品100点(250幅)が広い3会場に展示されました。 開幕式で中国美術学院院長の許江先生よりすばらしいスピーチをしていただき感激致しております。このスピーチの翻訳文と会場風景をまとめてみました。ご高覧いただければ幸甚に存じます。 また、この個展をプロデュースしていただいた私の画師・梁章凱先生と後援をいただいた中国美術学院・全日空と学術支持をいただいた中国浙江省書法家協会・賛助をいただいた芸術新聞社・朝日新聞旅行社に感謝の意を表します。 2015年秋 赤 井 清 美 |
中国美術院院長 許江先生の挨拶文(開幕式)2015年7月12日 | |
約一年前に梁章凱先生から一冊の分厚い本をプレゼントされました。本のタイトルは「行草大字典」でした。中国人の大家が作ったものばかりだと思っていましたが、よく見ると赤井先生が編纂されたことが分かり、尊敬の念を抱くと同時に大変な感銘を受けました。 赤井先生は中国文化を愛し、創作活動を常になされています。また幅広い芸術品を多数収蔵されておられます。 先生は若い頃ご縁があって、台北故宮博物院に収められた大量の中国歴代芸術珍品と一流名家の書を堪能されたそうです。この出来事も後に先生の書道芸術研究及び書道創作の礎となって、しかも大きな功績を修められました。先生は書、篆刻、鑑賞において、高いレベルの教養の持ち主だけでなく、絵画、陶芸にも精通しておられます。 先生は淡水会の会長であり、「椒園書道会」の主宰でもあります。著名な書道家と篆刻家として日本の書壇に名を馳せ、「椒」という漢字の意味は粘り性のある植物で、しかも刺激な香りを放す。まさに先生の作品そのものであります。先生の書は古代の秦漢から近代の清末までの名家の作品をお手本に、幅広くどの書体にも優れ、特に篆隷には金文、漢簡、楚簡、漢碑の妙趣を感じさせます。また現代の要素を取り入れて、率直且つ自然、時には流れるような勢いで、時には質朴で雄大、伝統の優雅さを保ちながら、新しいものを感じさせます。大胆で奇抜でありながら、古法から離れることは決してないのです。先生の楷書、行書、草書共に整然の中に、変化に富み、巻物にしても、軸ものにしても皆気韻に溢れ、見る人に大きな感動を与えています。 先生は篆刻にも得意とされ、秦漢の趣を出しつつ、刀法と篆法を大変重視されたようです。金石の濃厚な香りを漂う素朴で豊かな風格を追求すると同時に、自由奔放且つ力強さを感じさせる。またある作品から近代日本篆刻界が重要視された朱白対比がはっきり現れている。赤井先生は更に絵画、陶芸にも愛し、写意山水を好んで描き、また陶芸作品も書のように質朴で清清しい。中日それぞれの典型的な芸術風格の中で、先生ならではの独自の表現方法を確立しておられます。 先生は中国伝統芸術を愛するゆえに、異なる芸術と風格を研究し、自分の創作作品を豊かなものにされています。先生の作品から古人に対する敬意さえ感じさせられると同時に、この敬意を一種の神気に転換させ、真の学者文人の風範を感じ取ることが出来ます。作品の随所に内面的美しさを見て取れます。 先生は明清の書画、篆刻の名品を収蔵することで知られています。1972年から先生は学術書物や多数編纂されておられます。例えば、「武威漢簡」「中国書道史」「行草大字典」「篆隷大字典」等々これは先生の並々ならぬ超人的な知識と精神力の賜物であり、現代では稀有なことであります。先生がおっしゃるには「これらの著作は自分の書道芸術の原点である、これを契機にして新たな一歩を踏み出すつもりです。」先生の創作活動と学術研究は二つの異なる形態ではありますが、しかしながら、互いに良い影響を与え、共に最大な成果を挙げることに成功されました。 実は中国の書道芸術は日本人と深い関わりがあります。特に明清以来交流が大変盛んになりました。数多くの中国芸術を愛する日本人芸術家と研究者達は、中国芸術が日本での伝承及び拡大することに、重要な役割を果たされました。赤井先生はその一員であります。この場を借りて、先生に敬意を表すると同時に、個展の開催に携わる多くの方々と梁章凱先生にも御礼を申し上げ、先生の個展が大成功を収めるよう心からお祈りします。 |